資料⑮〔図5.25〕 板継ぎの溶接順序これは軟鋼の場合、600〜650℃に一定時間加熱して炉中冷却する方法で、残留応力を減少させるとともに残留水素をも放出させるものである。この処理で残留応力は90%以上除去されると同時に熱影響部における硬化帯も十分に軟化する。これは軟鋼の場合、900℃程度に加熱して炉中冷却する方法である。この処理は組織を正常にし残留応力を完全に除去するが、経費および設備の点で難点がある。これは溶接線方向の応力除去を目的に行われるもので、溶接線からいくぶん離れた圧縮応力の働いている部分をガス炎で200℃程度に加熱し、その直後に水冷する方法であり、溶接線付近の塑性変形により溶接部に集中する残留応力を緩和させることができる。ピーニングはピーニングハンマーで槌打ちすることであり、その目的は残留応力の低減、ひずみ取りおよび割れ防止などである。残留応力の軽減のためのピーニングは主として常温で行う。変形防止のためのピーニングは各層ごとに行って溶着金属を伸ばさなければならない。割れ防止のためのピーニングは溶着金属の温度が下がらない間に行う。(a) 応力除去焼鈍(b) 完全焼鈍(高温焼鈍)(c) 低温応力除去(d) ピーニング[3] 残留応力を少なくする方法一方、残留応力を少なくするには、一般に拘束の大きい場所から順次溶接を始めるのがよい。たとえば図5.25のような板継ぎの場合には、継手の中心から外側に向かって溶接を進めるのがよい。また収縮量のもっとも大きいと思われる部分を最初に溶接し、収縮のもっとも小さい部分を最後に溶接するようにしたり、あるいは溶接前に予熱したりすることも残留応力の軽減に効果がある。また溶接部の残留応力を積極的に除去する方法として下記のようなものがある。1177
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