資料⑯0000〔表7.5〕 ソリッドワイヤの種類及び溶着金属の機械的性質 〔JIS Z 3312-1993〕〔表7.7〕 ソリッドワイヤとフラックス入りワイヤの作業性比較※1 従来はソリッドワイヤに比較してやや多い、又は同等の銘柄が主流であったが最近は少ないタイプが主流になりつつある。種 類YGW 11YGW 12YGW 13YGW 14YGW 15YGW 16YGW 17YGW 21YGW 22YGW 23YGW 24ワイヤの種類項目とけ込み溶接姿勢ビード外観スラグ量スパッタアークの感じヒューム発生量シールドガスの種類〔 N/mm2 〕CO2CO2CO2CO2490以上420以上80%Ar-20%CO280%Ar-20%CO280%Ar-20%CO2490以上420以上CO2CO280%Ar-20%CO280%Ar-20%CO2570以上ソリッドワイヤ大電流用小電流用深い下向き水平すみ肉やや不良少ない多い全姿勢バチバチ普通引張強さ降伏点〔 N/mm2 〕390以上345以上390以上345以上490以上スラグ系浅いやや浅い全姿勢普通少ない少ない良い少ない美しい多い非常に少ない非常に良い※1伸び〔 % 〕温度〔℃〕22以上−20−20−20−5−5−20−2019以上フラックス入りワイヤメタル系スラグ少ないタイプ深い下向き水平すみ肉普通少ないやや多い良い※1衝撃試験シャルビー吸収エネルギー〔J〕47以上27以上27以上27以上47以上27以上27以上47以上27以上47以上27以上スラグ多いタイプやや浅い下向き水平すみ肉美しい多い非常に少ない非常に良い※1溶接材料[1] ソリッドワイヤソリッドワイヤは金属だけからできているワイヤで、もっとも多く使われているワイヤである。マグ溶接に使用されているワイヤ径は0.6〜2.0mm程度であり、1.2mmが代表的なワイヤ径である。ソリッドワイヤには大電流用と小電流用があり、200Amp程度を境目に使い分けられており、生産量は圧倒的に大電流用ワイヤの方が多い。ソリッドワイヤ(大電流用)は一般的にとけ込みが深く、水素量が少なく、能率がよいという長所を持っている反面、スパッタが多い、ビード外観が悪い、アークの感じが悪いという短所も持っている。ワイヤには脱酸剤としてMn、Siが比較的多く含まれており、他にTi、AIなどを含むことがある。溶着金属の機械的性質を表7.5に示す。[2] フラックス入りワイヤフラックス入りワイヤは金属外皮とスラグ生成剤、脱酸剤、合金成分、アーク安定剤などのフラックス部分から構成されている。フラックス原料の配合比を変化させることによって多種多様なワイヤを作ることができ、作業性、機械的性質、適用鋼種、適用板厚、シールドガスの種類などによってワイヤを選択する必要がある。多種多様なワイヤがあるため、機械的性質や作業性に関し、選択の幅が大きいが、一般的にはフラックス入りワイヤはアークの感じがよくスパッタが少なく、ビード外観が美しく、溶着速度が速いなどの長所を有している。フラックス入りワイヤのなかには、大きく分けてスラグ系とメタル系がある。スラグ系はスラグ生成原料であるルチール(TiO2)を主原料としており、メタル系は金属粉末を主原料としたワイヤである。したがって、前者は作業性重視形、後者は能率重視形ワイヤと考えてよいが、最近はその中間的なワイヤもできており、境界がはっきりしなくなる傾向にある。いづれにしても、フラックス入りワイヤはその特長が評価され、順調に生産量が伸びつつある。表7.6には溶着金属の機械的性質を、表7.7にはソリッドワイヤとの作業性比較を示した。フラックス入りワイヤの作業性は、最大公約数的なものを記載しているが、実際には銘柄によってその特長が大きく異なることを承知する必要がある。1178
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